『ブルードラゴン』シリーズは、ミストウォーカーとマイクロソフトが作成したRPG作品です。坂口博信、鳥山明、植松伸夫という豪華スタッフ陣が携わり、Xbox 360での第1作を皮切りに、ニンテンドーDSで続編が展開されました。本記事では、シリーズ各作品について詳細に解説し、それぞれの魅力を掘り下げていきます。
シリーズの概要

『ブルードラゴン』シリーズは、2006年に発売されたXbox 360向けRPG『ブルードラゴン』を皮切りに展開されたゲームシリーズです。坂口博信が総指揮を執り、鳥山明がキャラクターデザインを担当、植松伸夫が音楽を手掛けたことで話題を集めました。物語は、影の力を操る少年シュウと仲間たちが、世界を支配しようとする敵・ネネに立ち向かう冒険を描いています。
続編として、ニンテンドーDS向けに『ブルードラゴン プラス』と『ブルードラゴン 異界の巨獣』が発売され、それぞれリアルタイムシミュレーションRPG、アクションバトルRPGへとジャンルが変化しました。また、アニメや漫画、カードゲームなど多岐にわたるメディア展開も行われました。独自の「影」システムを軸にした戦略的なバトルと、感動的なストーリーが魅力のシリーズです。
シリーズの魅力
豪華なクリエイター陣による独創的な世界観

『ブルードラゴン』シリーズの最大の魅力のひとつは、そのクリエイター陣の豪華さです。『ファイナルファンタジー』の生みの親である坂口博信がプロデュースを手掛け、キャラクターデザインには『ドラゴンボール』の鳥山明、音楽には『ファイナルファンタジー』シリーズの作曲家である植松伸夫が参加しました。この三者のタッグによって生み出された世界は、独自の個性と深みを持つものとなり、プレイヤーを壮大な冒険へと引き込みます。特に、鳥山明が手掛けたキャラクターやモンスターのデザインは独創的であり、ファンタジーながらも親しみやすい魅力を持っています。また、植松伸夫によるBGMは、戦闘シーンから感動的なイベントシーンまで、ゲームの雰囲気をより一層引き立てています。
「影」を駆使した戦略的なバトルシステム

本作の戦闘システムには、「影」というユニークな要素が取り入れられています。登場キャラクターたちは、それぞれ「影」を持っており、ドラゴンやフェニックス、ミノタウロスなどの幻獣のような姿をした影を召喚して戦います。この影は戦闘を重ねることで成長し、新たなスキルを習得していくため、育成の楽しさも備えています。特に、影の「カテゴリー」と呼ばれるジョブシステムに似た概念が導入されており、プレイヤーは戦略的にキャラクターの成長方針を決めることができます。さらに、戦闘の際にエンカウントサークルを活用し、複数の敵と連戦する「モンスターファイト」システムが採用されており、ただのターン制バトルにとどまらない奥深さがある点も魅力的です。
充実したストーリーと魅力的なキャラクター

『ブルードラゴン』シリーズの物語は、シンプルでありながらも奥深いものとなっています。第1作では、紫の雲とともに現れる怪物「地鮫」に襲われた村を舞台に、主人公シュウたちが強大な敵であるネネに立ち向かう冒険を描いています。少年たちの成長や仲間との絆を描くストーリーは感動的であり、RPGファンの心をつかむものとなっています。また、続編では物語がさらに広がり、『ブルードラゴン プラス』では前作から1年後の世界を舞台に新たな陰謀が展開され、『ブルードラゴン 異界の巨獣』では新たな主人公を中心にして「影」の力を巡る新たな物語が描かれます。
登場キャラクターたちも個性的で、主人公シュウは負けず嫌いで仲間思いの少年、ジーロは冷静で頭脳派、クルックは大人びた少女で仲間の支えとなる存在です。さらに、ゾラやマルマロなども個性豊かで、それぞれのキャラクターの成長が物語に深みを与えています。悪役であるネネも単なる敵ではなく、その過去や動機が描かれており、単純な勧善懲悪ではない奥深い物語が展開されます。
メディアミックスによる幅広い展開

『ブルードラゴン』はゲームだけにとどまらず、アニメや漫画、カードゲームなど、多方面でメディア展開されました。特に、2007年から放送されたテレビアニメ版は、ゲームとは異なる独自のストーリーが展開され、続編『BLUE DRAGON 天界の七竜』も放送されました。ゲームの設定を活かしつつも、異なる世界観を持つアニメ版は、ゲームを知らない視聴者にも楽しめる作品となっています。
また、漫画版としては小畑健による『BLUE DRAGON ラルΩグラド』や、柴田亜美によるギャグ漫画『BLUE DRAGON ST』、さらにアニメのストーリーを補完する『BLUE DRAGON 天界の七竜~空中都市の闘い~』などが刊行され、多くのファンに親しまれました。さらに、トレーディングカードゲームとして『ブルードラゴン ロールプレイングカードゲーム』がコナミから発売され、TCGとRPG要素を融合させた独自のシステムが話題となりました。
多彩なゲームシステムと進化するゲームプレイ

シリーズを通して、ゲームシステムが進化している点も魅力の一つです。初代『ブルードラゴン』ではクラシックなRPGのスタイルを踏襲しつつも、戦略的な戦闘システムを導入しました。一方で、『ブルードラゴン プラス』ではリアルタイムシミュレーションRPGへと変化し、戦略的なユニット操作が求められるゲームプレイが採用されました。そして『ブルードラゴン 異界の巨獣』ではアクションバトルRPGへと進化し、キャラクターを直接操作して戦うシステムが導入されました。
また、ダウンロードコンテンツやオンライン要素も充実しており、Xbox Live マーケットプレースでは追加ダンジョンや新たなアイテムが配信され、ニンテンドーDS版ではWi-Fiコネクションによる協力プレイが可能となるなど、時代に応じた進化を遂げています。これにより、プレイヤーは常に新しい体験を得ることができ、シリーズの魅力が長く続く要因となっています。
シリーズの一覧
ブルードラゴン


2006年12月7日に発売されたXbox 360専用のRPG『ブルードラゴン』は、坂口博信がプロデュースし、キャラクターデザインを鳥山明、音楽を植松伸夫が手掛けた作品です。発売前から注目を集め、日本国内ではXbox 360の販売促進にも貢献しました。
本作の特徴は「影」を使ったバトルシステムです。主人公シュウたちは、自らの影を操ることで戦闘を行い、影の成長システムは『ファイナルファンタジーV』のジョブシステムを彷彿とさせる仕組みになっています。また、シンボルエンカウント制を採用し、敵との戦闘を選択できるほか、「エンカウントサークル」によって複数の敵と連戦する戦術的なプレイも可能です。

ストーリーは、紫の雲とともに現れる怪物「地鮫」によって襲撃される村から始まります。主人公シュウと仲間たちは、謎の老人ネネに立ち向かうために旅立ちます。途中で仲間を増やしながら、影の力を駆使して成長し、強敵に挑んでいきます。
発売時には「Xbox 360 コア システム ブルードラゴン プレミアムパック」として本体とのセット販売も行われました。さらに、ダウンロードコンテンツによって新しいダンジョンやアイテムが追加され、プレイヤーはより深くゲームを楽しめるようになりました。
ブルードラゴン プラス


2008年9月4日に発売されたニンテンドーDS向けの続編『ブルードラゴン プラス』は、前作の1年後を舞台にしています。ゲームジャンルはリアルタイムシミュレーションRPGに変更され、戦闘はマップ上のユニットをリアルタイムで操作するスタイルになりました。

本作では、前作のキャラクターだけでなく、多くの新キャラクターも影の力を使えるようになっています。ストーリーは、ネネとの戦いを終えたシュウたちが、新たな脅威と対峙する展開となっており、戦略性の高いバトルシステムが特徴です。
海外でも『Blue Dragon Plus』として発売され、前作と異なる戦略的なプレイスタイルが評価されました。
ブルードラゴン 異界の巨獣


2009年10月8日に発売された『ブルードラゴン 異界の巨獣』は、シリーズ第3作にあたり、アクションバトルRPGとして新たな方向性を打ち出しました。戦闘は従来のコマンド式ではなく、リアルタイムでキャラクターを動かして戦う形式となり、よりアクティブなプレイが求められます。

本作では、プレイヤーがカスタマイズできるアバターキャラクターが主人公となり、過去作のキャラクターとともに冒険を繰り広げます。物語の舞台は、影の力が奪われた世界で、主人公だけが影を操ることができるという設定になっています。影の付け替えが可能になったことで、戦略の幅が広がりました。
また、ニンテンドーWi-Fiコネクションに対応し、最大3人までの協力プレイが可能となるなど、マルチプレイ要素も強化されました。
メディア展開作品一覧
TVアニメ
BLUE DRAGON

『ブルードラゴン』の世界観をアニメ化した作品で、2007年4月から2008年3月までテレビ東京系列で放送されました。全51話で構成され、原作ゲームの設定を基にしながらも、オリジナルのストーリーが展開されました。アニメでは、シュウやクルック、ジーロといったお馴染みのキャラクターが登場しつつも、ゲームとは異なる新たな要素が加えられています。
DVD全巻セット


DVD単巻版













BLUE DRAGON 天界の七竜

続編となる『BLUE DRAGON 天界の七竜』は2008年4月から2009年3月まで放送され、全51話が制作されました。新たな敵「七竜」との戦いを描き、シュウたちはさらなる冒険へと旅立ちます。アニメ版では、シュウが影の力をどのように成長させていくのか、仲間たちとの絆がどのように深まるのかが重要なテーマとなっています。
DVD全巻セット


DVD単巻版













漫画
BLUE DRAGON ラルΩグラド

『BLUE DRAGON ラルΩグラド』は、ゲーム版とは異なる完全オリジナルのストーリーを展開した漫画作品です。原作を鷹野常雄、作画を『DEATH NOTE』の小畑健が担当し、2007年から2008年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載されました。
物語の主人公はラルという少年で、彼は「影獣グラド」と呼ばれる強大な影の力を宿しており、世界を支配する「影獣」との戦いに身を投じることになります。ゲームとは異なり、よりダークでシリアスな世界観が描かれており、戦闘シーンの迫力や緻密なキャラクターデザインが魅力となっています。
全巻セット

単巻版




BLUE DRAGON ST

『BLUE DRAGON ST(シークレットトリック)』は、『月刊少年ジャンプ』にて2006年12月から2007年6月まで連載されたギャグ漫画です。漫画家の柴田亜美が執筆を担当し、ゲーム版の設定をベースにしつつも、4コマ漫画的なコメディ要素が強調された内容となっています。
物語の時系列はゲーム本編の4年後という設定で、シュウたちが再び冒険を繰り広げる様子を描いていますが、シリアスな展開はほぼなく、パロディやユーモアが満載の作品になっています。掲載誌の休刊に伴い短期間で終了してしまいましたが、単行本化もされており、現在でも一部のファンに根強く支持されています。

BLUE DRAGON 天界の七竜 空中都市の闘い

『Vジャンプ』にて2008年7月号から2009年6月号まで連載された漫画で、アニメ『BLUE DRAGON 天界の七竜』の物語を補完する内容になっています。原作はアニメのシリーズ構成を担当した大和屋暁、作画はアニメ版の作画監督である大竹紀子が手掛けました。
本作は、アニメの第22話と第23話の間にあたるエピソードを描いており、アニメでは明かされなかった空中都市の秘密や、シュウたちがどのようにして新たな力を手に入れたのかが詳しく描かれています。アニメのファンにとっては、本編の裏側を知ることができる貴重な作品となっています。

カードゲーム
ブルードラゴン ロールプレイングカードゲーム


2007年4月21日より、コナミデジタルエンタテインメントから発売されたトレーディングカードゲームです。タイトルの「ロールプレイングカードゲーム」の名の通り、TCGの要素にRPGの成長要素を組み合わせたシステムが特徴的でした。
カードにはキャラクターや影、モンスター、アイテムなどがあり、対戦中に使用することで戦略的な駆け引きが生まれるようになっています。また、EXP(経験値)システムを採用し、プレイ中に使ったカードを経験値として蓄積し、特定の条件を満たすことで影のカードがレベルアップし、強力な攻撃を繰り出せるようになる仕組みがありました。
当時は、ゲームの人気とともにカードゲームも展開され、さまざまなブースターパックが発売されました。しかし、カードゲーム市場の競争が激しく、後発のカードゲームとしては大ヒットには至らず、シリーズの展開は短期間で終了しました。
まとめ

『ブルードラゴン』シリーズは、RPGとしての完成度の高さに加え、メディアミックス展開によって幅広い層にアプローチした作品です。第1作はXbox 360の代表的なRPGとして高く評価され、続編も異なるゲームジャンルを取り入れながら進化を遂げました。
特に「影」を使った戦闘システムは、シリーズのアイデンティティとして確立され、戦略的なバトルを楽しむことができました。アニメや漫画などのメディア展開も活発に行われ、ゲームの枠を超えた魅力を持つ作品となっています。
今後、新作の登場が期待されるかは不明ですが、シリーズの持つ独自の魅力は今でも色あせることなく、多くのファンの心に残っています。
ブルードラゴンシリーズの一覧
