1995年に日本のゲームメーカー、グラムスから誕生した「クォヴァディス」シリーズは、セガサターン用の戦略シミュレーションゲームとしてデビューしました。その後、PlayStationにもリメイク移植され、続編も登場。このシリーズは、銀河系における人類の運命を描いた独自のストーリーと洗練されたゲームプレイで、多くのファンを魅了してきました。このページではそんな「クォヴァディス」シリーズについて第一作目の内容を中心に紹介していきます。
ゲームシリーズの説明
背景と特徴
「クォヴァディス」は、銀河系全体で繰り広げられる人類の戦乱と平和の物語です。平和を実現するための平和条約が締結され、平和艦隊「イブコーア」が設立されます。しかし、その中で反乱が勃発し、士官大学生たちは平和の渦に巻き込まれていくという緊迫感溢れる展開が特徴です。
制作陣
製作陣には、PC-9800シリーズ用ソフト『妄想特撮シリーズ 地球防衛少女イコちゃん UFO大作戦』を手掛けたプロデューサー吉田直人、アニメ『マクロスシリーズ』のキャラクターデザインを担当した美樹本晴彦、小説家の上原尚子、そして音楽を手掛けた土師一雄が名を連ねています。これにより、物語、キャラクター、音楽といった要素が見事に調和しています。
移植と続編
初代はセガサターン向けに登場し、その後1997年にはPlayStationにリメイク移植されました。続編としては、『QUOVADIS 2〜惑星強襲オヴァン・レイ〜』も発売されましたが、ストーリーやゲームシステムには直接の繋がりはないとされています。
ストーリー
遥かな未来の舞台
物語は遥かな未来の銀河系で繰り広げられます。長らく続いた戦乱を終結させた平和条約から100年が経ち、平和を守るべく設立された平和艦隊「イブコーア」の士官大学が物語の舞台となります。
反乱の謀略
平和を祝う日、一部の国が反乱を企て、士官大学生たちはその渦に巻き込まれ戦いに身を投じます。プレイヤーは主人公ハルとなり、基地や大学内を移動しながら仲間たちとの対話を通じてストーリーを進め、艦隊を指揮して敵との戦いに挑むことになります。
ゲームシステム
ユニークな二層構造
「クォヴァディス」のゲームシステムは独特の二層構造を持っています。一方では主人公ハルが移動し、仲間たちとの交流を通じて物語を進めるアドベンチャーパート。もう一方では艦隊を操作し、敵との戦略的な戦いを繰り広げるシミュレーションパート。これにより、物語と戦略が絶妙に組み合わさり、プレイヤーを引き込んでいます。
戦略的な厚み
戦闘は複数の宇宙艦を一つの艦隊として扱い、旗艦が沈むとその艦隊は全滅となります。補給艦が生きている限りは艦隊内の艦は毎ターン耐久値が回復し、戦略的な位置取りが求められます。戦術マップは斜め上から見下ろし、正方形のエリア内を小さな正方形のマスで区切り、艦隊の移動と敵艦隊との交戦が展開されます。
艦隊の編成とカスタムシップ
最大8隻の宇宙艦を指揮し、戦局を有利に進めるための艦隊編成とカスタムシップの取得が「クォヴァディス」シリーズにおいて重要な要素となっています。
艦種と陣形の戦略
8つの異なる艦種が存在し、それぞれが独自の特徴を持っています。ビーム兵器やミサイル兵器を駆使し、敵艦隊との熾烈な戦いを繰り広げます。陣形も8つあり、それぞれが戦術的な優位性を提供します。これらの要素を巧みに組み合わせ、戦局を有利に進めることが求められます。
カスタムシップの取得
プレイヤーが手に入れることができるカスタムシップは、特定の指定マップでの攻略結果によって決まります。撃沈艦がない状態で規定ターン数をクリアするとAランクで最高性能の戦艦「アレイオン」が手に入ります。これにより、プレイヤーのプレイスタイルや戦略に合わせて戦力を強化できるようになっています。
開発
背景とインスピレーション
「クォヴァディス」シリーズは、グラムスが初めて手がけた家庭用ゲーム機向け作品です。吉田直人プロデューサーは、ハヤカワ文庫のSF小説やボードゲームに触れる中で得た影響を取り入れ、ゲームの要素は『機動戦士ガンダム』や『銀河英雄伝説』からのインスピレーションを受けています。このような背景から、シリーズは独自性と深い物語性を有しています。
未完の三部作
本作は三部構成の予定でしたが、残念ながらグラムスの倒産により三作目は実現されませんでした。それでも、初代とそのリメイク版、続編を通してプレイヤーに提供された独自の体験は、ゲーム史において特別な存在となりました。
評価
「クォヴァディス」は評価が分かれる一方で、独自の魅力があります。ゲーム誌『ファミ通』の評価ではセガサターン版が19点(40点満点)と低めでしたが、PlayStation版は22点と標準的な評価を得ました。読者投票による評価は、セガサターン版がやや高評価を得ています。
シリーズの一覧
クォヴァディス
セガサターン版
他キャラと会話をしながら進めていくストーリーパートと、艦隊を操作し敵艦隊を撃破する戦術パートを繰り返しながら進めていく、シュミレーションゲーム。人類が銀河系の広範囲に広がり、戦乱が銀河系に広がることになった。長い戦乱を止めるべく、銀河系の中心に存在した10の大国が平和条約を締結。ところが、その中で一部の国が反乱を起こそうと画策していた。士官大学生達は、その戦いの渦に巻き込まれていくことになる。
プレイステーション版
プレイステーション用ソフトとして発売された本格SFシミュレーションゲーム。プレイヤーは、主人公のハル・バランシンとなり、艦隊を操り敵艦隊を撃破していく。豪華声優陣を起用し、2Dアニメーション&3DCGによるリアルな戦闘シーンが壮大なストーリーを演出している。プレイヤーは自由に艦を配備可能な8隻構成の艦隊を操作し、敵の陣形に合わせて戦術を変えて敵を撃破していこう。
クォヴァディス 惑星強襲オヴァン・レイ
グラムスが発売したリアルタイムストラテジーゲーム。前作『QUOVADIS』とは別の星系で起きた出来事を描いている。ユニット操作は基本的に目標地点を指定することに自動的に敵の攻撃等を行っていく。特徴としては視線の概念があり、友軍機のレーダー範囲外の敵はマップに表示されず、敵機と自機の間に森・山等が存在する場合お互い相手を発見できないこととなる。煙幕をはって敵の視界を遮る戦術も存在する。
まとめ
「クォヴァディス」シリーズは、その独自のストーリー、洗練されたゲームプレイ、そして戦略的な要素が組み合わさり、多くのプレイヤーに愛されています。未完の三部作であるがゆえに、その世界観や物語には謎めいた魅力が漂っています。ゲーム史において、このシリーズは戦略シミュレーションゲームの金字塔として、今なお多くの人に語り継がれています。