「ドラゴンフォース」シリーズは、セガサターンで誕生した壮大な戦略シミュレーションRPGです。シリーズ全体を通じて、プレイヤーは数多の英雄や兵士を率いて大陸統一を目指す旅に出ます。そのスケール感、個性豊かなキャラクター、奥深いゲームシステムは、発売から長い年月を経てもなお、多くのファンを魅了しています。本記事ではシリーズ全体に共通する魅力を深掘りしながら、その魅力の根幹を探ります。
シリーズの概要

ドラゴンフォースシリーズは、セガサターンで生まれた壮大な戦略シミュレーションRPGです。舞台は「レジェンドラ大陸」と呼ばれるファンタジーの世界。プレイヤーは国の君主となり、邪神マドルクの復活を阻止しつつ大陸の統一を目指します。シリーズの最大の特徴は、最大100対100の大規模な戦闘システムです。兵種の相性や戦術が勝敗を分けるため、戦略性の高さが魅力となっています。
1作目では8人の君主から主人公を選び、それぞれの物語が展開されるマルチストーリー形式が採用されました。個性豊かなキャラクターたちが織りなす壮大な物語がプレイヤーを魅了します。続編「ドラゴンフォースII」では、兵種やシステムが進化し、より奥深い戦略と内政が楽しめるようになりました。
美しいファンタジー世界観と圧倒的なスケール感が特徴で、発売から長い年月を経てもなお、多くのファンに愛され続ける名作シリーズです。
シリーズの魅力
圧倒的なスケール感と戦場の臨場感

ドラゴンフォースシリーズの最大の魅力は、その壮大なスケール感にあります。舞台となる「レジェンドラ大陸」は、神々が創造した世界で、国々が勢力を争う中、邪神の復活という脅威に立ち向かう英雄たちの物語が描かれます。プレイヤーはその中で一国の君主として軍勢を率い、大陸全体を統一することを目指します。
特に注目すべきは戦闘の規模です。一度の戦闘で最大100対100の兵士が入り乱れる壮大な戦場は、当時の他のゲームでは見られなかった画期的な要素でした。兵士たちが一斉に動き、戦闘が進む様子は、まるで映画のような迫力で、戦場の臨場感を存分に味わえます。
この戦場のスケール感がプレイヤーに大陸全体を支配するという達成感を強く感じさせるポイントであり、シリーズの象徴ともいえる要素です。
個性豊かなキャラクターと物語

ドラゴンフォースシリーズでは、選択する主人公によって異なる物語を体験できます。シリーズの1作目では、8つの国から1人の君主を選び、それぞれの背景や目標に沿った物語が展開されました。
例えば、ハイランド王国の若き王ウェインは、正義感と優しさを兼ね備えた理想的な王として成長する物語を描きます。一方で、ファンダリア帝国のゴルダークは、兄を倒し専制君主として君臨するという波乱に満ちた運命をたどります。このように、多様なキャラクターたちの物語がプレイヤーに選択肢を与え、それぞれに異なる魅力を感じさせます。
また、武将や兵士たちも個性的です。単なる戦力としてだけでなく、背景や性格が細かく設定されているため、彼らとの交流や成長もプレイヤーの楽しみの一つです。特定のキャラクター同士に因縁がある場合は、戦闘時に特別な会話イベントが発生するなど、物語に深みを与える仕掛けも豊富です。
奥深い戦略性と自由度

シリーズの特徴として、内政と戦略、そして戦闘の3つの要素が巧妙に組み合わさっている点が挙げられます。内政では武将たちとの会話やアイテム探索、築城などを行い、戦力を整えます。戦略モードでは、軍隊を操作して敵国を攻めたり、守備を固めたりしながら大陸全体を制圧する計画を立てます。そして、戦闘では兵士たちを指揮し、戦術を駆使して敵軍を打ち破ります。
特に戦闘では兵種ごとの相性が重要で、敵の編成に応じた戦略が求められます。例えば、飛行兵にはアーチャーが有効であり、逆に格闘系のモンクには戦士系のソルジャーが強いといったように、シンプルながら奥深いバランスが設計されています。この戦略性がシリーズの核となる部分であり、何度も挑戦したくなる中毒性を生んでいます。
さらに、どの国を最初に攻めるか、どの武将を主力にするかといった自由度の高さもプレイヤーの創意工夫を促します。戦略を自分のスタイルでカスタマイズできる点が、シリーズを特別なものにしているのです。
ファンタジー世界観の魅力

ドラゴンフォースシリーズが愛される理由の一つは、作り込まれたファンタジー世界観にあります。女神アステアや邪神マドルクといった神々の存在が物語に壮大さを加え、星竜ハースガルドの力を借りて戦う英雄たちの運命が描かれます。このような神話的な要素が、単なる戦争シミュレーションを超えた奥深いストーリーを形成しています。
さらに、登場する各国も独自の文化や背景を持ち、プレイヤーを引き込む設定が満載です。例えば、自然を尊ぶエルフの国ムーンパレスや、武術が盛んな宗教国家トパーズ王国など、国ごとの特色がプレイヤーの興味を引き立てます。
また、BGMやキャラクターの台詞回しも、ファンタジー世界を彩る重要な要素です。特に戦闘中の熱いBGMや、武将たちの声優が演じる台詞は、ゲームの没入感をさらに高めます。
シリーズの進化と課題

シリーズ2作目「ドラゴンフォースII -神去りし大地に-」では、前作のシステムを進化させつつ、新たな要素が多く追加されました。兵種が増え、武将が複数の兵科を使用できるようになったことで、戦闘の幅が広がりました。また、内政面ではオート機能が追加され、プレイヤーの操作の負担が軽減されています。
しかしながら、続編ではいくつかの課題も浮かび上がりました。特にストーリーやキャラクターの華やかさが前作に比べて弱まり、ファンタジーらしい魅力がやや失われた点は一部のファンにとって不満だったようです。それでも、戦略シミュレーションとしてのゲーム性は健在で、シリーズ全体として高い完成度を保っています。
開発秘話:困難を乗り越えたゲーム

「ドラゴンフォース」の開発は、秋篠雅弘が設立したソフトハウス「Jフォース」と桑名真吾の個人契約によって始まりました。しかし、開発途中で「Jフォース」が倒産し、セガが新規のスタッフを加えて開発を引き継ぎました。阪神大震災の影響で住む場所を失ったスタッフが多く、数か月間の無給労働を経て、ゲームは完成しました。初期の主要スタッフは、完成を見ることなく他の企業に移ってしまったそうです。
また、ゲームの名称「ドラゴンフォース」は、秋篠雅弘が「Jフォース」から『ドラゴンクエストのようなヒット作を生み出したい』という想いから生まれたものです。
シリーズの一覧
ドラゴンフォース

「ドラゴンフォース」は1996年にセガサターンで発売され、大規模な戦闘シーンや奥深いストーリーで高い評価を得たゲームです。この作品では、最大100対100の大軍勢による戦闘が展開され、戦術の駆け引きが楽しめます。
システムとゲームプレイ
ゲームは「内政モード」と「戦略モード」の2つを中心に進行します。内政では武将との会談や築城、探索を行い、戦略モードでは軍を動かして敵と戦います。選択した主人公によってストーリーが変化する点も特徴的で、プレイヤーごとに異なる物語を体験できます。
ストーリーと登場キャラクター
物語の舞台は、神々が愛した大陸「レジェンドラ」。邪神マドルクの復活を阻止するため、女神アステアの啓示を受けた8人の英雄が星竜ハースガルドの力を借りて戦います。
特に主人公の1人、ハイランド国王ウェインの物語は感動的です。若き王として民衆からの信頼を得つつも、大陸全土に宣戦布告したファンダリア帝国との戦いを経て、人間としても成長していきます。また、彼を支える武将たちも個性豊かで、各キャラクターの背景や信念が深く描かれています。
戦闘と兵種
この作品の醍醐味は何と言っても戦闘システムです。各武将が率いる兵種には相性があり、戦略的な編成が求められます。ソルジャーやアーチャー、ドラゴニアといった兵種それぞれに強みがあり、相手の兵科に応じた対応が勝利の鍵です。
ゲームの進行や戦闘のテンポ感も良く、広大な大陸を制覇する達成感がプレイヤーに大きな満足を与えました。
ゲームソフト
セガサターン版

プレイステーション2版

ドラゴンフォース2 神去りし大地に

1998年に発売された「ドラゴンフォースII」は、前作の500年後を舞台にした続編です。新たな王たちが登場し、改良されたシステムが特徴的です。
改良されたシステム
本作では、兵種が2倍以上に増え、戦闘や内政がさらに奥深いものとなりました。内政モードでは、築城や探索のオート機能が追加され、プレイヤーの負担が軽減されています。また、武将が2種類の兵科を使えるようになり、戦闘の自由度が向上しました。
フィールド上での移動速度を調整する「早回し」機能や、アイテムの研究(合成)といった新要素も加わり、ゲーム体験が多彩になっています。
ストーリーとキャラクター
前作と比べて暗いトーンのストーリーが展開されます。魔族の脅威が大陸全土を覆い、主人公たちはそれぞれの国を背負いながら戦います。新たに登場した8人の君主は、前作のキャラクターの子孫や後継者であり、前作の物語との繋がりを感じさせます。
例えば、新たなハイランド王エーベルスやムーンパレスの王女レニは、それぞれの国の運命を左右する重要な役割を担います。一方、反乱軍のバーツは魔族の血を引きながらも、その運命に抗う物語を展開します。このように、各国の君主や武将たちが複雑に絡み合いながら物語が進行します。
戦闘と評価
前作に比べて武将が非常に強く設定されており、戦闘は武将同士のタイマン要素が強まりました。このため、兵士同士の大規模戦闘よりも武将技やスキルの活用が重視される傾向があります。
しかしながら、全体的な評価としては賛否両論が分かれました。特に、物語後半の敵勢力が単調であったり、戦闘のテンポが悪いといった点が指摘されています。また、キャラクターの顔グラフィックやデザインが地味になり、前作の華やかさを欠いたという意見も見られました。
ゲームソフト
セガサターン版

まとめ

ドラゴンフォースシリーズの魅力は、壮大な戦場の臨場感、個性豊かなキャラクター、奥深い戦略性、そしてファンタジー世界観にあります。特に1作目は、シリーズの中でもその完成度が際立っており、戦略シミュレーションRPGの金字塔として多くのファンに愛されています。
続編である「ドラゴンフォースII」は、システムの進化や新たな物語を提供しつつも、前作のファンタジーらしい華やかさがやや薄れた点で賛否が分かれました。それでも、シリーズ全体としての評価は非常に高く、その革新性と完成度は今なお語り継がれています。
ドラゴンフォースシリーズは、戦略シミュレーションの魅力を知る上で欠かせない作品であり、その世界観と物語は、長くプレイヤーの記憶に残るでしょう。再びこの壮大な物語が現代に蘇ることを、ファンとして心から願っています。
ドラゴンフォースシリーズのゲーム一覧
