「バックガイナー」は、1997年から1998年にかけて「はるかぜ戦隊Vフォース」で知られるビングがプレイステーションとセガサターンで発売したシミュレーションゲームです。このシリーズは全三部作を予定していましたが、途中で開発が中止されました。本記事では、このシリーズの概要、特徴的なシステム、評価点、ストーリー、そしてゲームの魅力について詳しく紹介します。
シリーズの概要
「バックガイナー」は、普通の少年少女が戦いに巻き込まれるという設定で、『機動戦士ガンダム』や『超時空要塞マクロス』、『新世紀エヴァンゲリオン』などの90年代の人気アニメの要素を取り入れています。キャラクターとメカニックデザインは、後に『機動戦士ガンダムSEED』シリーズや『蒼穹のファフナー』で知られる平井久司が担当しました。
1997年に「覚醒編・ガイナー転生」が、1998年に「飛翔編・うらぎりの戦場」がそれぞれ発売されましたが、第三作「完結編・そして未来へ」は発売元のビングがゲーム事業から撤退したため未発売のままとなりました。
魅力的な要素
魅力的なキャラクターデザインとメカニックデザイン
「バックガイナー」シリーズの大きな魅力の一つは、そのキャラクターデザインとメカニックデザインです。キャラクターデザインを担当した平井久司氏は、後に『機動戦士ガンダムSEED』シリーズや『蒼穹のファフナー』でその才能を発揮し、多くのファンを魅了しました。特に、各キャラクターの個性が豊かで、見た目だけでなく性格や背景設定にも深みがあるため、プレイヤーは自然と感情移入することができます。
メカニックデザインも秀逸で、シェル(ロボット)それぞれが個別にデザインされており、戦闘シーンでの動きや武器の使用方法などが非常にリアルに描かれています。これにより、戦闘シーンが非常に迫力あるものとなり、プレイヤーはまるでアニメを見ているかのような臨場感を味わうことができます。
高品質なアニメーション
「バックガイナー」シリーズは、その高品質なアニメーションでも知られています。特に戦闘シーンやイベントシーンでは、専用のアニメーションが流れるため、ゲームプレイ中にまるでアニメを見ているかのような体験ができます。アニメーションの質が非常に高く、キャラクターの動きや表情が細かく描かれているため、物語の進行やキャラクターの感情がより一層伝わってきます。
声優陣の豪華さ
本作には、豪華な声優陣が起用されています。これにより、キャラクターの個性が一層引き立ち、プレイヤーは物語に深く引き込まれることができます。声優の演技力が高く、キャラクターの感情や緊迫感がリアルに伝わってくるため、ゲームの没入感が非常に高いです。
重厚なストーリーとシナリオ
「バックガイナー」シリーズのストーリーは非常に重厚で、プレイヤーを引き込む力があります。21世紀初頭の日本を舞台に、人間の消滅や怪物の出現といった謎めいた事件が次々と発生し、その裏で活動する特殊警察機動隊(特機隊)の活躍を描いています。主人公の水城慎と緑川なつみが、怪物との戦いに巻き込まれながら成長していく姿が描かれ、プレイヤーは彼らと共に物語を体験することができます。
戦略性の高いシミュレーションパート
「バックガイナー」のシミュレーションパートは、シンプルながらも戦略性が高く、プレイヤーの思考力が試されます。シンクロレベルやバーニングといったシステムを駆使し、敵の動きを予測しながら戦闘を進める必要があります。これにより、単なる戦闘ゲームではなく、戦略シミュレーションゲームとしての深みが増しています。
独特なゲームシステム
シンクロレベル
「バックガイナー」シリーズの特徴的なシステムの一つに「シンクロレベル」があります。このシステムは、プレイヤーが操作するユニットと敵ユニットすべてに適用される重要なパラメータです。
シンクロレベルの役割
シンクロレベルは、ユニットの戦闘能力を左右する重要な指標です。このレベルが高ければ高いほどユニットの攻撃力や防御力が向上し、より効果的に戦うことができます。しかし、逆にシンクロレベルが低下すると、ユニットは攻撃や移動ができなくなり、戦闘能力が大幅に制限されます。
シンクロレベルの回復
シンクロレベルは「シンクロ」コマンドを使用して回復させることができます。シンクロを行うためには1ターン以上を消費し、その間ユニットは他の行動ができなくなります。したがって、シンクロを行うタイミングは戦略的に非常に重要です。
格闘攻撃とシンクロレベル
敵ユニットに対して格闘戦用の武器で攻撃すると、相手のシンクロレベルを低下させることができます。これにより、敵の戦闘能力を削ぎ、戦局を有利に進めることが可能です。このシステムは、ただ単に攻撃力や防御力を考慮するだけでなく、相手のシンクロレベルをいかに管理するかが鍵となります。
バーニング(BURNING)
シンクロレベルと並んで「バックガイナー」シリーズのもう一つの重要なシステムが「バーニング」です。このパラメータは、ユニットがダメージを受けることで上昇し、戦闘中に大きな影響を与えます。
バーニングの上昇
バーニングは、敵からの攻撃によって上昇します。敵味方それぞれのユニットに個別に設定されており、ダメージの受け方によってバーニングの上がり方が異なります。あるユニットは少ししか上がらないのに対し、他のユニットは一気に100に達することもあります。
バーニングコマンド
バーニングが100に達すると、「バーニングコマンド」が選択可能になります。このコマンドを使用することで、ユニットは一時的にパワーアップし、攻撃力、防御力、命中力が向上します。これにより、戦闘を有利に進めることができ、逆境を打開するチャンスを得ることができます。
戦略的なバーニングの活用
バーニングシステムは、戦闘において非常に戦略的な要素となります。プレイヤーは、どのタイミングでバーニングを発動するかを慎重に判断する必要があります。また、敵のバーニングゲージを管理し、相手がパワーアップする前に打撃を与える戦略も重要です。
評価点
「バックガイナー」シリーズはキャラクターデザインとメカニックデザインが高く評価されています。特に、仲間キャラクターがほぼ女性であることや、シェル(ロボット)のデザインが個別に用意されている点が特徴です。また、アニメーションの質が非常に高く、声優も有名どころを起用しているため、戦闘パートでの専用アニメが流れる際の迫力があります。
ストーリー
21世紀初頭、科学が発達したものの日常生活はそれほど変わらない平和な日々が続いていました。しかし、日本で人間の消滅や怪物の出現といった不可解な事件が発生し始めます。この事件の裏で、警視庁特殊警察機動隊(通称:特機隊)が結成され、人型兵器を使って捜査と解決にあたっていました。
そんな中、主人公の水城慎と緑川なつみは、いつものように登校する途中で機動隊の交通封鎖に遭遇します。報道ヘリが飛び交う中、2人は特警用シェルと怪物が戦う姿を目撃します。なつみを助けるため、慎は放棄されていたシェル・リブラルに搭乗することになります。
シリーズ一覧
バックガイナー よみがえる勇者たち 覚醒編「ガイナー転生」
「バックガイナー よみがえる勇者たち 覚醒編『ガイナー転生』」は、1998年1月29日にビングより発売されました。この作品はドラマチックシミュレーションゲームとして、プレイヤーは「バックガイナー」に変身して敵と戦います。
この作品では、イベントシーン、戦闘シーン、アドベンチャーシーンの三つのパートが組み合わさっています。イベントシーンでは物語が進行し、戦闘シーンでは戦略性を要求されるシミュレーションパートでの戦闘が行われます。アドベンチャーシーンでは主人公を動かし、他のキャラクターとの会話を通じて物語を進めることができます。
特に注目すべきは、豊富なイベントアニメーションと戦闘アニメーションです。シンプルなシステムながらも戦略性が高く、シンクロレベルやバーニングシステムを駆使することで、深みのあるゲームプレイが楽しめます。
物語は21世紀初頭の日本を舞台に、人間の消滅や怪物の出現といった不可解な事件が次々と発生する中、主人公の水城慎と緑川なつみが巻き込まれていく様子が描かれます。二人は特殊警察機動隊(特機隊)の戦いに関わることになり、放棄されたシェル・リブラルに搭乗することで、物語が進行します。
プレイステーション版
セガサターン版
バックガイナー よみがえる勇者たち 飛翔編「うらぎりの戦場」
「バックガイナー よみがえる勇者たち 飛翔編『うらぎりの戦場』」は、1998年6月25日にビングより発売されました。この作品はシリーズ第2弾として、前作のシステムを継承しつつ、新たな要素を追加しています。
本作では、前作同様にイベントシーン、戦闘シーン、アドベンチャーシーンの三つのパートが組み合わさっていますが、新たに「EASYモード」が追加されました。これにより、シミュレーションが苦手なプレイヤーでもゲームを楽しむことができるようになっています。
戦闘シーンでは、引き続きシンクロレベルやバーニングシステムが重要な役割を果たし、プレイヤーはこれらのシステムを駆使して戦局を有利に進める必要があります。さらに、豪華なアニメーションと重厚なストーリーが、プレイヤーを引き込む要素として強化されています。
物語は前作の続きで、主人公たちが新たな敵と対峙し、さらなる困難に立ち向かっていく様子が描かれます。裏切りや陰謀が交錯する戦場で、プレイヤーは仲間と協力しながら真実を追求し、平和を取り戻すために戦い続けます。
プレイステーション版
セガサターン版
バックガイナー よみがえる勇者たち 完結編「そして未来へ」(未発表作品)
未発売のため詳しい内容は不明ですが、シリーズの完結編として予定されていた「そして未来へ」は、前作までの謎を解き明かし、物語の集大成となる内容が期待されていました。しかし、ビングのゲーム事業撤退により、この作品は未完のままとなりました。
まとめ
「バックガイナー」シリーズは、魅力的なキャラクターデザインとメカニックデザイン、そして高品質なアニメーションで多くのファンを魅了しました。しかし、ビングのゲーム事業撤退により、シリーズは未完のままとなりました。それでも、シンクロレベルやバーニングといった独自のシステムが取り入れられたゲームプレイは、多くのプレイヤーにとって新鮮な体験を提供してくれました。シリーズが続いていれば、さらに多くの進化と感動が待っていた作品です。