『コズミック・ファンタジー』シリーズは、1990年代初頭にPCエンジンやメガCD向けに発売され、後にNintendo Switchで復活を遂げた伝説的なRPGシリーズです。このシリーズはアニメーションを駆使したビジュアルシーンや、キャラクター間の深い関係性が特徴です。本記事では、このシリーズの魅力、ゲームシステム、そしてメディアミックスに至るまでの広がりを深堀りしていきます。
シリーズの概略

1990年から1994年にかけて、日本テレネットのレーザーソフト(メガCD版はRIOTブランド)から発売された『コズミック・ファンタジー』シリーズは、越智一裕による独特の世界観と小原渉平のメカデザインで知られています。特に、RPGの重要シーンにアニメーションを取り入れた画期的な試みは、当時としては革新的でした。また、ファンクラブの設立、小説や漫画、さらにはOVAへと拡がるメディアミックスも実現しました。
ゲームシステムの特徴

『コズミック・ファンタジー』シリーズのゲームプレイは、宇宙海賊などの敵を倒すことを目指す冒険にフォーカスしています。プレイヤーはコズミック・ハンターとして、様々な星を探索します。このシリーズは、主人公を含むキャラクター間の恋愛関係の発展にも重点を置いていますが、ゲームの進行上、ロード時間の長さや敵とのエンカウント率の高さなどの技術的な課題も抱えていました。
ビジュアルシーンの導入
このシリーズ最大の特徴は、重要なシーンをアニメーションで表現する「ビジュアルシーン」の導入です。CD-ROMの容量を活用して、ゲームの物語を豊かに彩るアニメーションが挿入されることで、プレイヤーはまるでアニメを見ているような感覚で物語に没入することができました。この手法は、後のRPGやアドベンチャーゲームにも大きな影響を与えています。
キャラクター間の関係性
シリーズを通じて、主人公をはじめとするキャラクターたちの間に芽生える友情や恋愛感情が物語に深みを加えています。特に、異性のキャラクター間で徐々に発展していく恋愛関係は、プレイヤーに感情移入の機会を提供し、単なる冒険物語を超えた魅力を生み出しています。
ゲームプレイの構造
『コズミック・ファンタジー』シリーズの基本的なゲームプレイは、主人公が宇宙海賊などの敵と戦いながら様々な星を探索するというものです。プレイヤーはコズミック・ハンターとして、星々の謎を解き明かし、宇宙の平和を守るために奮闘します。この過程で、プレイヤーは戦闘、探索、アイテム収集など、RPGにおける様々な要素を楽しむことができます。
ロード時間とエンカウント率
シリーズの一部では、CD-ROMを使用したゲームデザインのためにロード時間が長くなることがありました。また、敵キャラクターとの遭遇率が高いという点も、プレイにおいて特徴的な部分です。これらの要素は、一部のプレイヤーにとってはゲームプレイのペースを乱す要因となりましたが、当時の技術的な制約の中で最大限の表現を試みた結果でもあります。
シリーズの進化
シリーズが進むにつれて、ゲームシステムやビジュアル表現も進化しました。特に、キャラクターデザインやアニメーションの質が向上し、プレイヤーにより鮮明で魅力的なビジュアル体験を提供するようになりました。また、ゲーム内での新しい試み、例えば特定条件下で隠された要素が明かされるなど、探索や発見の楽しみを深める要素も盛り込まれています。
シリーズ作品
『コズミック・ファンタジー』シリーズは、その独特な世界観と魅力的なキャラクターで多くのファンを獲得しました。各作品は独自のストーリーと進化したゲームシステムを提供し、プレイヤーを宇宙冒険の旅に誘います。以下で、シリーズの主要な作品を詳しく見ていきましょう。
コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ


シリーズの第一作。主人公ユウとサヤの冒険を描く。CD-ROM²システムの初期に制作されたRPGで、オープニングテーマには西村知美の「光の海の中へ」が採用されました。戦闘開始までのロード時間が長いことが特徴ですが、キャラクター音声の導入やアニメーションシーンによって、没入感を高める試みがされています。
コズミック・ファンタジー2 冒険少年バン


シリーズ第二作。主人公がバンとリムに変わり、前作から引き続きユウとサヤも登場します。ゲームシステムとしては前作のロード時間の問題が改善され、よりスムーズなゲームプレイが実現されました。また、この作品は英語版も制作され、日本国外でも発売されました。
コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ


シリーズの第三作。主人公はレイとマイで、時系列としては『1』より前の話を描きます。シリーズ正式な主題歌が初めて使用され、更に深い物語が展開されます。技術的な改善も見られ、より洗練されたゲームプレイを提供します。
コズミック・ファンタジー4 銀河少年伝説

シリーズの最終作であり、突入編と激闘編の2部作として発売されました。突入編ではユウ、サヤ、もんものアルジャーノンチームが、激闘編ではバン、リム、ピックのリトルフォックスチームが主役となります。シリーズの集大成とも言える作品で、第一部の完結を迎えます。
突入編

激闘編

コズミック・ファンタジービジュアル集

シリーズの第一作と第二作のビジュアルシーンを集めた特別編。ゲームの魅力的なアニメーションシーンを一堂に見ることができる作品です。
コズミック・ファンタジー Stories

メガCDで発売された、『1』と『2』を一つにまとめた作品。独自のオープニングが追加され、システムにも改良が加えられましたが、ビジュアルシーンの削除やゲームバランスの問題が指摘されています。
コズミック・ファンタジーCOLLECTION
Nintendo Switch用に発売された、『1』と『2』を収録した復刻版。長年のファンだけでなく、新しい世代のプレイヤーにもシリーズを楽しんでもらうための作品です。
コズミック・ファンタジーCOLLECTION2
『3』『4突入編』『4激闘編』が収録されたNintendo Switch用ソフト。復刻版として発売されており、シリーズのファンにとっては待望のリリースとなりました。
メインキャラクター

『コズミック・ファンタジー』シリーズは、魅力的なキャラクターたちとその冒険を描いています。彼らは物語の中心であり、プレイヤーが感情移入しやすい存在です。以下では、シリーズを代表するメインキャラクターたちについて、より詳細に紹介します。
ユウ
- 声優:高山みなみ
- 概要:シリーズの象徴的存在で、宇宙を守る熟練のコズミック・ハンター。様々な事件を解決してきた実力者で、ピンチの時には強力なサイキック能力を発揮します。彼の相棒は、ネズミをモチーフにした宇宙船「アルジャーノン」とバイク型ロボットの「もんも」です。
サヤ
- 声優:高田由美
- 概要:『冒険少年ユウ』のヒロインで、銀河魔法を使う勇者ティタニスの末裔。惑星ノーグ出身で、ユウとの出会いを通じて共にコズミック・ハンターとして活躍します。彼女の銀河魔法は、多くのピンチを救う鍵となります。
バン
- 声優:関俊彦
- 概要:『コズミック・ファンタジー2』の主人公。イデア星出身の若者で、常に前向きで行動的な性格。幼馴染のラーラを救うため、そして後にはコズミック・ハンターへの道を歩むための旅に出ます。彼の物語は、成長と冒険に満ちています。
リム
- 声優:鶴ひろみ
- 概要:『2』のヒロインで、新米コズミック・ハンター。キツネをモチーフにした高性能宇宙船「リトルフォックス」のパイロットであり、サイキック能力を持つ。彼女はガサツな性格ですが、その実力は本物で、バンと共に多くの困難を乗り越えます。
レイ
- 声優:辻谷耕史
- 概要:『コズミック・ファンタジー3』の主人公で、『1』よりも前の時代を生きる少年。治癒能力を持つ彼は、シリーズの中で重要な役割を果たします。後にユウの父となり、シリーズを通じてその運命はプレイヤーに大きな影響を与えます。
マイ
- 声優:冬馬由美
- 概要:『3』のヒロインで、レイの相棒。彼女はダイゴの妹であり、レイと共に銀河を旅します。レイとの間に息子ユウをもうけ、シリーズの後半では彼女たちの運命も大きな謎の一つとなります。
ニャン
- 声優:中野聖子 / 『3』以降 – 深雪さなえ
- 概要:自称銀河一の星間商人で、シリーズを通じて登場します。彼はシャム星出身で、プレイヤーが困った時に様々なアイテムを売りつけることで知られています。ニャンは、その独特なキャラクターと笑い声で、シリーズにユーモアを加える存在です。
もんも
- 声優:高田由美
- 概要:ユウと共に行動するモモンガ型の生体メカ。バイクに変形する能力を持ち、ユウの冒険の大きな支えとなります。もんもは、シリーズを通じてユウと共に数々の困難を乗り越えていきます。
メディアミックス

『コズミック・ファンタジー』シリーズは、その魅力的な世界観とキャラクターたちをゲームの枠を超えて展開し、多岐にわたるメディアミックスを実現しました。ここでは、シリーズのメディアミックス作品について、より詳しく掘り下げていきます。
漫画:『コズミック・ファンタジー』
- 連載期間:1992年 – 1993年3月
- 掲載誌:『月刊PC Engine FAN』
- 作画:越智一裕
- 概要:シリーズの生みの親である越智一裕自身によって描かれたこの漫画は、ゲームのストーリーを基にしつつも、新たな解釈やエピソードが加えられた作品です。特に、キャラクターたちの日常や背景が深く掘り下げられ、ファンにとっては貴重な一面を見ることができます。
小説:『コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ』
- 著者:越智一裕・神戸一彦
- 発売日:1992年7月30日
- 概要:ゲームの世界観をベースに、新たな物語が展開される小説版。登場人物の内面描写や、ゲームでは語られなかった背景が豊かに語られており、シリーズの世界をより深く知ることができます。
OVA:「コズミック・ファンタジー 銀河女豹の罠」
- 発売日:1994年8月25日
- 概要:ユウとサヤをメインとしたオリジナルストーリーを描いた45分のアニメーションビデオ。ゲームでは見られなかったキャラクターたちの活躍や、新たな敵との戦いが描かれています。ファンにとっては、キャラクターたちの声を聞くことができる貴重な作品です。
音楽CD
シリーズを彩る楽曲や主題歌を収録した音楽CDもリリースされています。これらの楽曲は、ゲーム中で重要なシーンを盛り上げるだけでなく、聴くだけでもシリーズの世界観に浸ることができます。
まとめ

『コズミック・ファンタジー』シリーズは、宇宙を舞台に繰り広げられるコズミック・ハンターの冒険物語で、アニメーションを駆使したビジュアルシーンや、キャラクター間の深い関係性が特徴です。1990年代のゲーム技術の限界に挑みながら、独自の魅力を持つキャラクターたちと共に、プレイヤーを未知なる宇宙へと誘うこのRPGシリーズは、今も多くのファンに愛され続けています。未プレイの方には、その革新的な試みと物語の深さをぜひ体験していただきたいです。
コズミック・ファンタジーシリーズの一覧
