ナゾラーランドシリーズ|ファミコン時代のユニークなディスクマガジン

ゲームシリーズ
© 1988 サンソフト All Rights Reserved.

ナゾラーランドシリーズは、1987年から1988年にかけてサン電子(サンソフト)によって発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステム用のディスクマガジンです。毎号複数のミニゲームが収録され、雑誌のような要素も盛り込まれた独特なスタイルが特徴でした。本記事では、各号に収録されたゲーム内容を詳しく解説しながら、シリーズの魅力を掘り下げていきます。

シリーズの概要

シリーズの概要
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『ナゾラーランド』は、1987年から1988年にかけて発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステム用のゲームシリーズです。サンソフトと世界文化社の共同制作により誕生し、雑誌のように複数のミニゲームを収録する「ディスクマガジン」という独特な形式を採用しました。シリーズは全3号が発売され、それぞれ異なるクイズ、パズル、アドベンチャーゲームが収録されました。さらに、ユーザー投稿企画や読者参加型の要素を取り入れ、プレイヤーとの双方向的な関係を築いた点が特徴です。ディスクシステムの衰退とともにシリーズは終了しましたが、ゲームと雑誌を融合させた革新的な試みとして、今でもレトロゲームファンの間で語り継がれています。

シリーズの魅力

斬新な「ディスクマガジン」形式

斬新な「ディスクマガジン」形式
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『ナゾラーランド』シリーズが特異だったのは、その形態にあります。通常のゲームとは異なり、雑誌のように複数のミニゲームが収録され、さらには読者参加型の企画や投稿コーナーまで用意されていました。これは、当時のゲーム業界において非常に珍しく、まるでゲームと雑誌が融合したような斬新な試みでした。

収録されているゲームは、パズル、クイズ、アドベンチャーと多岐にわたり、毎号違った趣向が凝らされていました。さらに、プレイヤーからの投稿を活かした「ナゾラーBOX」というコーナーが設けられ、ユーザーの声が反映される点も特徴的でした。このように、単なるゲームパッケージではなく、ユーザーとの双方向的な関係を築こうとした点が、『ナゾラーランド』の大きな魅力となっています。

バラエティ豊かなゲーム内容

バラエティ豊かなゲーム内容
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各号には個性的なミニゲームが収録されていました。第1号では「日本一周ウルトラクイズ」や「MOMOKO姫を救え!」といったクイズやアドベンチャーゲームが登場し、プレイヤーを楽しませました。また、「回転迷路ドアマン」や「スーパージグソー」などのパズルゲームもあり、多種多様なジャンルが網羅されていました。

第2号では、さらにユニークなゲームが登場しました。「パタリック」では赤と白のパネルを裏返しながらステージを攻略するパズルが展開され、「わらしべ」では物々交換を繰り返しながらお城の入手を目指すシミュレーション要素が加わりました。さらには、「世界一周ナゾラークイズ」が登場し、前作の「日本一周ウルトラクイズ」を発展させた形となりました。

そして、第3号では、ミニゲームの数が絞られ、より洗練された構成となりました。例えば、「スゴロクイズ」は、クイズに答えながらすごろくを進めるというシンプルながらも白熱するゲーム性が特徴でした。また、「ナゾラー少年探偵団」では、閉じ込められた部屋から脱出するアドベンチャーゲームが収録され、限られた空間の中で試行錯誤する楽しさが味わえました。

ユーザー参加型の革新性

ユーザー参加型の革新性
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『ナゾラーランド』シリーズが特別だった理由の一つに、ユーザー参加型の仕組みがあります。「ナゾラーBOX」というコーナーでは、プレイヤーの手紙が紹介されるだけでなく、ゲーム制作に関する意見や感想が取り上げられました。さらには、第3号では「ミス・ナゾラーコンテスト」が実施され、読者が応募したドット絵作品が発表されるなど、プレイヤーの創造力を活かす場も設けられました。

当時、ゲームは基本的にメーカーが提供するものであり、ユーザーが直接関与することは少なかった時代でした。そんな中で『ナゾラーランド』は、プレイヤーの意見を積極的に取り入れるスタイルを取り、まさに「一緒に作るゲーム」という新しい形を実現しました。この試みは、現在のオンラインゲームやSNSを活用したゲーム開発の先駆けとも言えるでしょう。

シリーズの終焉とその影響

シリーズの終焉とその影響
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残念ながら、『ナゾラーランド』は第3号をもって終了となりました。その理由の一つとして、ディスクシステム自体の衰退が挙げられます。時代はROMカセットへと移行しつつあり、ディスクシステム専用のソフトは次第に減少していきました。また、当時の子供たちにとって「ミニゲーム集」に500円の書き換え費用を支払うことが、コストパフォーマンスの面でやや厳しいと判断された可能性もあります。

しかしながら、『ナゾラーランド』が示した可能性は、後のゲーム業界にも影響を与えました。例えば、オムニバス形式で様々なミニゲームを収録するゲームや、ユーザー参加型の企画が増えていくきっかけとなったと言えるでしょう。また、このシリーズに関わった開発者の中には、その後もゲーム業界で活躍し続けた人物も多く、当時のクリエイティブな発想が次世代へと受け継がれました。

シリーズの一覧

ナゾラーランド 創刊号

ナゾラーランド 創刊号
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ナゾラーランド 創刊号(ディスクシステム専用)|ファミコン (FC)|サンソフト|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
サンソフトより1987年2月6日にファミコンのディスクシステム用マガジンとして発売されたオムニバスソフト。3D冒険シミュレーション、ウルトラクイズ、ナゾラー占い、回転迷路ドアマン押し出しパズル、スーパージグソー、3DMAZE(立体迷路)フ…

1987年2月6日に発売された創刊号は、8本のミニゲームを収録し、プレイヤーに多様なジャンルのゲーム体験を提供しました。

「回転迷路ドアマン」は、T字型の回転ドアをうまく操作して迷路を進むパズルゲームで、シンプルながら考えさせられる要素が特徴的でした。「ナゾラー占い」は、マスターマインド形式の推理パズルで、プレイヤーの運勢を占うユニークな試みがなされていました。

また、「スーパージグソー」は、11×14ピースのジグソーパズルを制限時間内に完成させるもので、シンプルながら奥深い難易度がありました。「MOMOKO姫を救え!」はアドベンチャーゲームで、迷宮に囚われた姫を救い出すというストーリーが展開されましたが、選択を一つ間違えると即ゲームオーバーという厳しさが話題になりました。

「日本一周ウルトラクイズ」は、クイズに答えながら日本各地を巡るゲームで、運と知識が試される構成でした。「ファミコン適性検査 速撃マっくん」は、連打速度を競うシンプルながら熱中度の高いゲームで、対戦モードも搭載されていました。

「押し出しパズル」は、砲弾を撃ち出してピースを移動させ、正しい絵を完成させるパズルで、3段階の難易度が用意されていました。「3-D MAZE」は、立体迷路を探索するゲームで、ゴールにはバニーガールが待っているという意外な展開がプレイヤーの興味を引きました。

創刊号は、ディスクシステムの書き換え機能を活かし、500円という低価格で提供されたことでコストパフォーマンスが高いと評価されました。

ナゾラーランド 第2号

ナゾラーランド 第2号
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ナゾラーランド 第2号(ディスクシステム専用)|ファミコン (FC)|サンソフト|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
サンソフトより1987年6月12日にファミコンのディスクシステム用マガジンとして発売されたオムニバスソフト。本作から雑誌らしくお便り紹介のナゾラーBOXが収録されている。ナゾラーBOXでは応募のためにドット絵がかけるツールも用意。世界一周…

1987年6月12日に発売された第2号では、収録ゲーム数が5本に減少したものの、より洗練されたゲームが揃いました。さらに、「ナゾラーBOX」というおたよりコーナーが新設され、プレイヤーとの交流要素が強まりました。

「パタリック」は、8×8のパネルを裏返してすべて白にするパズルゲームで、単純ながら奥深い戦略が求められるものでした。「世界一周ナゾラークイズ」は、日本一周版と同じくクイズを解きながら世界各地を巡るゲームで、最大4人で遊べる仕様になり、パーティー向けの楽しさが増しました。

「わらしべ」は、物々交換を繰り返して最終的に城を手に入れるシミュレーションゲームで、登場キャラクターの個性が強く、独特なストーリー展開が楽しめました。「爆風トモちゃん」は、爆弾を使って床に穴を開け、最下層を目指すアクションパズルで、爆風の巻き込みやネズミの妨害に気をつけながら進むスリリングなゲームでした。

「ナゾラー少年探偵団・黄金屋敷の謎編」は、少年探偵団のメンバーに指示を出しながら屋敷の秘密を解き明かすアドベンチャーゲームでした。選択を誤ると信頼度が下がり、ゲームオーバーになる要素がスリルを生み出していました。

この号では、前作の「数は多いが中途半端なゲームが目立つ」という評価を踏まえ、内容が充実した形になり、ゲーム誌でも高評価を得ました。

ナゾラーランド 第3号

ナゾラーランド 第3号
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ナゾラーランド 第3号(ディスクシステム専用)|ファミコン (FC)|サンソフト|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
サンソフトより1988年3月11日にディスクシステム用マガジンとして発売されたオムニバスソフト。スゴロクやビンゴ、「トモちゃん」シリーズ、お便りコーナーに加え、自分のキャラクターがグラフィック付きで登場する「ミス・ナゾラーコンテスト」、そ…

1988年3月11日に発売された第3号は、実質的にシリーズ最終号となり、さらに選び抜かれたゲームが収録されました。

「スゴロクイズ」は、クイズに正解するとサイコロを振ることができるすごろく形式のゲームで、最大4人で遊べる仕様になっていました。「爆走トモちゃん」は、障害物を避けながらステージの右端まで駆け抜けるアクションゲームで、前作の「爆風トモちゃん」とは違うアプローチが取られていました。

「ナゾラー少年探偵団」では、一人で密室に閉じ込められた主人公が脱出を試みるアドベンチャーゲームで、シンプルながら試行錯誤を求められる構成が好評でした。「ビンゴゲーム」は、ビンゴ用のカード発行と番号の抽選を行うツール的な要素を持ち、パーティーゲームの一環として活用されました。

また、「ナゾラーBOX」では、プレイヤーからの投稿を紹介するおたよりコーナーのほか、「ミス・ナゾラーコンテスト」の結果発表が行われました。ここで受賞した作品の中には、後に『どうぶつの森』や『スプラトゥーン』を手掛けることになる野上恒氏の作品も含まれていました。

ナゾラーランドスペシャル!!「クイズ王を探せ」

ナゾラーランドスペシャル!!「クイズ王を探せ」
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ナゾラーランドスペシャル!! クイズ王を探せ(ディスクシステム専用)|ファミコン (FC)|サンソフト|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
サンソフトより1987年12月18日にファミコンのディスクシステム用ソフトとして発売されたクイズゲーム。日本各地を巡りながらクイズマスターに挑戦し、最終的には「クイズ王」を探し出して倒し、自らがクイズ王になることが目的となる。アドベンチャ…

1987年12月18日にサンソフトが発売したファミリーコンピュータ ディスクシステム用のクイズゲーム。ディスクマガジン『ナゾラーランド 創刊号』に収録されていた「日本一周ウルトラクイズ旅行」を大幅にスケールアップさせた作品で、ストーリーは第2号の「世界一周ナゾラークイズ」から続いている。

プレイヤーは東京をスタート地点として日本各地を移動しながら、三択クイズに答えてポケットマネーを稼ぐ。不正解の場合は罰金が科される。ゲームは「北海道・東北」「関東・中部」「近畿・中国」「四国・九州」の4ブロックに分かれており、ブロック間の移動には隠しルートの発見が必要となる。各地ではアイテムを入手できることもあり、特定のイベントをクリアするために必須となることもある。

物語の舞台は、謎の人物「クイズ王」が日本を支配した世界。彼は全国を4つのブロックに分割し、各地に8人の「クイズマスター」を配置している。プレイヤーは全国を巡り、彼らにクイズで勝利してクイズ王を探し出すのが目的となる。クイズマスターには、科学クイズを出題する「マッドサイエンティスト」、迷信や先人の知恵に詳しい「物知りタケさん」、スポーツ問題を担当する「オリンピックボーイ」など、個性的なキャラクターが揃っている。

ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」では、総合評価15.70点(25点満点)を獲得。「クイズ1本に絞っているためボリュームが豊富で、アドベンチャー要素も加わっており、クイズ好きにはたまらない作品」と紹介された。

関連作品

なんきんのアドベンチア

なんきんのアドベンチア
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なんきんのアドベンチア(ディスクシステム専用)|ファミコン (FC)|サンソフト|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
サンソフトより1988年12月9日にファミコンのディスクシステム用ソフトとして発売されたアドベンチャーゲーム。イラストレーター・なんきん氏の名をタイトルにしている。神秘の国ジャポネに、文明を伝えるためにやってきた伝道師ザビエルを操作して、…

1988年12月9日にサンソフトより発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステム用のアドベンチャーゲーム。タイトルの「なんきん」は、本作のイラストを担当した漫画家・イラストレーターのなんきん氏に由来する。彼は当時『宝島』や『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』などで活躍しており、『ナゾラーランド』シリーズのイラストも手がけていた。本作はその延長線上にあるが、ディスクマガジン形式ではなく、独立したアドベンチャーゲームとして展開された。

プレイヤーは伝道師ザビエルとなり、「神秘の国ジャポネ」に文明を伝えるための旅をする。道中では「ゲイシャボーイ」「スシガール」「謎のパフォーマー」など、独特なキャラクターと出会い、彼らと会話をしながら文明とは何かを教えていく。しかし、世界観はかなりシュールかつコミカルで、単なる文明開化の話ではなく、独自のユーモアがちりばめられている。

アドベンチャーゲームではあるが、ゲームオーバーになっても即座に復活できる仕様になっており、サクサクと進行できるのが特徴。操作はシンプルで、十字キーで選択、Aボタンで決定、Bボタンでキャンセルや文字表示の加速が可能。エンディングでは「散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」というフレーズが登場し、当時の有名な歌がオチとなる。

「ナゾラーランド」シリーズから派生した作品ではあるが、アドベンチャーゲームとして一本に絞ったことで、独自の味わいを持つ作品となっている。ゲーム全体のノリはおバカ系のコメディADVに近く、独特な世界観とユーモラスな展開が魅力。ゲームオーバーの概念は一応あるものの、リトライが容易なためテンポよく進められる設計になっている。

まとめ

まとめ
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ナゾラーランドシリーズは、単なるゲーム集ではなく、プレイヤーとの双方向のコミュニケーションを取り入れた斬新な試みが多くなされていました。ディスクシステムならではの書き換え機能を活かし、低コストで豊富なゲーム体験を提供するというアイデアは、当時としては非常にユニークでした。

特に、第2号以降では内容の充実度が増し、プレイヤーからのフィードバックを活かしたゲーム作りが行われていた点は、今のインディーゲームのような開発スタイルを先取りしていたとも言えます。現在では入手が難しいものの、レトロゲームファンの間では根強い人気を誇る作品となっています。

ナゾラーランドシリーズは、ファミコン時代のゲーム文化の多様性を象徴する存在として、今後も語り継がれることでしょう。

ナゾラーランドシリーズの一覧

ゲーム一覧|ナゾラーランド|レトロゲームから最新ゲームまで検索できるゲームカタログのピコピコ大百科
【ゲーム一覧】から「ナゾラーランド」の文字が含まれるゲームタイトルを紹介しています。ピコピコ大百科は今まで販売されたテレビゲームソフトのデータベース(ゲームカタログ)です。レトロゲームから最新ゲームまで任天堂、セガ、ソニーなどのゲーム機で発...
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